RTAを広めるために
リアルタイムアタックはゲーム内に表示されるタイムではなく、「ゲーム開始からエンディングまでの実時間を計測する」といった遊び方です。特にプレイ内容の制限は無いけど、このゲームをこんなに早くクリアしてやったぜ!というのを自慢するための「やり込みプレイの一種」としての紹介が多いです。
近年日本国内では、「RTAinJAPAN」をはじめ様々なオフラインRTAイベントが開催されており、また海外では「GameDoneQuick」や「RPG LIMIT BREAK」などの超大規模なチャリティーイベントまで発展して開催されています。
またゲームカテゴリーの内容だと、eスポーツのオリンピック競技化などゲームプレイが世界規模の大会にまで発展し注目を浴びており、今後さらなる進化を遂げていくと思われます。
Wikipediaによると国内で初めてeスポーツ企業が創業したのが2000年とのことなので、一般の方々に認知され始めている昨今まで、約20年の積み重ねがあってようやく漕ぎつけた段階となります。
しかしながら日本国内での認知度はeスポーツですらまだまだ高いとは言えず、ましてやRTAなんてのは「ただの遊び方」でしかないのが現状です。
そもそもゲームを使った競技という時点で理解が追いつかないのか、「eスポーツのどこがスポーツなのか」「ただファミコンやってるだけじゃないか」といった意見や、若い世代であっても「上手いプレイより面白い実況プレイが見たい」という声が見受けられます。
結局、「ゲーム=ただの娯楽」という固定概念が離れていないんですね。そもそもゲーム制作側が娯楽を提供するために作っているわけで、競技を目的に作っているわけではない。僕もよく親にこう言われましたよ。「ゲームばっかやってないで勉強しなさい」と。
「ボール」という玉が娯楽のために作られ、それを受けてプレイヤーが「玉蹴り」という遊びを考えて、様々なルール等を設定して「サッカー」という競技が出来、それを受けて製作者は競技専用の「サッカーボール」を作るようになりました。
サッカーは今や誰でも知っているスポーツだけど、出来立ての当時はなかなか理解されないものだったんじゃないかな。今は娯楽のためのゲームでも、ワールドカップのように世界中で熱狂する競技になる可能性は否定できません。
RTAは「やり込みプレイの一種」から「オリンピック競技の一種」となれるんでしょうか?
理解を深めるには時間がかかる
ではRTAを広めるにはどうすればいいか。結論からすると、「一つ一つ足していくしかない」んです。
そもそもRTAはゲームとストップウォッチさえあれば誰でも簡単にやることが出来ます。サッカーをやるのにボールがあれば出来るのと一緒です。ただどんなに短いタイムでクリアしようが、他人に見せなければ一人遊びでしかありません。プラスアルファとして、出した結果を他人に公開する手段が必要となりました。
始めに足された大きな第一歩は、ゲームをクリアするまでの時間を計測して書いたレポートをWeb上に掲載したのがそれかと思われます。
Web上に掲載されたことで、「ほう、そういう遊び方もあるのか…」てな具合にゲームファンの間で浸透していき、プレイレポートや雑誌へのやり込み投稿などでさらに広がり、個人範囲で公開できるものとしてブログ、動画サイトへの投稿、生放送での披露など、年数が経過するにつれ、RTAを公開するためのプラスアルファとしては最高の発展を遂げました。
簡単に個人で公開ができる環境が整った今、さらに広めるためには、さらに違った形のプラスアルファが必要となります。
そこで昨今、オフライン・・・実際に会場へとゲーム機を持ち込み、プレイを披露した上でオンラインでも配信するといった形のプラスアルファが生まれました。
インターネット上でのRTAイベントではその放送サイトを見ていなければ認知されません。またオフラインのイベントではその界隈の口コミ・宣伝がなければ認知されません。オンラインの要素とオフラインの要素がプラスされ、相乗効果が生まれたことで認知度が増しています。
また、RTAの認知へのプラスアルファといえば、biimシステムの動画も一助を担っていると言って差し支えないと思います。主にゆっくりボイス実況動画の支持層等へと、RTAをより見やすく、より分かりやすく解説(とネタ)を入れて、RTAへの理解が自然と深まる構図となっています。
さらには個人の発信ではなく、企業の人間がRTAを取材し、記事に載せて紹介する例もあり、徐々に一般への認知は高まっている状況は大変喜ばしいじゃないですか。
こうやって一つ一つプラスアルファを重ねることで、理解や関心が深まるものなので、より一層いろんな要素を足していくことが大事なことだと思います。
今後のプラスアルファ
さて次なるプラスアルファですが、例えば「スターの存在」が必要と思っています。
野球で言えば長嶋茂雄や王貞治、松井秀喜や清原和博、イチローや佐々木主浩、松坂大輔や大谷翔平など、挙げればキリがないくらいのスター選手がいたからこそ長年の間野球人気が継続されており、野球がよく分からない層からしても選手の活躍ぶりは知っているという構図となっています。
eスポーツ関連のスター選手といえば最も有名なのは(ていうか僕が知ってる中では)ウメハラでしょうか。格闘ゲームがよく分からない層でも、何かすげえプレイヤーなんだ!という印象を持っていると思います。
また、生々しい話ですが現実的な意味で最も大事なプラスアルファが「お金」です。
eスポーツで高額賞金が日本の法律云々など、様々な問題点を抱えている現状ですが、やはり生活していくにはお金は必要ですし、モチベーションにも繋がりますよね。
大会を運営するのにもお金がかかります。開催する会場、設備費であったり、そこで働く人たちの賃金など必要な場面は多々あります。
選手にとってもより多くのお金があれば、より良い環境でトレーニング出来るようになります。選手のみでなく、選手を支えるトレーナーや競技に使う道具の開発者等にとってもトレーニングメニューの向上や道具の品質向上に向けて努力するため、競技全体の質が上がっていき、さらに活性化に繋がり、より僕たちを楽しませてくれるといった好循環が生まれますね。
逆に自分たちがお金を使う時ってどういう時かと考えると、「うまい物を食う」「旅行を楽しむ」「若い女の子といんぐりもんぐりする」など、大抵は自分の欲を満たすために使います。それが寄付やボランティアであっても同じことで、出資者からすれば適切なリターンがあるからこそ寄付を行うんです。「RTAを見たい」という欲を満たすためにお金を使う循環が出来れば、大きなプラスアルファとなるはずです。
プロスポーツであってもマイナー競技で世界一になった選手でさえ、その競技だけでは満足に収入が得られず、生活が貧しているという記事を最近よく見かけます。
おそらくですが、その競技に出資することでどのような価値があるかが十分にアピールされておらず、世間への認知度が低いために出資者が集まらない状況かと思われます。
今後RTAを広めるには、「RTAをやることでどういった価値があるのか」をアピールすることが重要となってきます。「楽しいからみんなやろう」で止まっていては先に進むことは難しくなっていくでしょう。
プラスアルファ、何か価値の提供が必要という雑文でした。